2016年8月16日火曜日

あれから4か月、そして5か月

河原町繊維問屋街の火災で、アトリエが焼失してから5か月が過ぎた。そして、熊本地震の本震から4か月。
つい昨日の出来事ような、もうずっと昔のことのような、よくわからない感覚で過ごしている。
火災直後、もう2度とこんな辛いことは起きないと思って耐えていたのに、またすぐひと月後に起きた熊本地震の大きな余震。その時も、もうこんなに大きな地震は来ないと信じていた矢先のさらに大きな本震。信じていても、予想しない出来事は起きる。しかも立て続けに。
「信じるものは救われる」と言うけれど、困難や災難は信じていても身に降りかかるものらしい。

神様はいるの?いないの?
オニはいるの?いないの?
カッパはいるの?いないの?
サンタクロースはいるの?いないの?
しんじていれば  ほんと?
しんじていなければ  うそ?

中川ひろたか氏の絵本「うそ」の佳境で出てくる一文だが、私はこのフレーズが好きで子ども達に読み聞かせるたびに胸を打たれる。
「信じていれば救われる」という言葉も、信じていれば本当で、信じていなければ嘘なのだ。
もう誰も何も信じないから!と、堕ちてネガティブにこそなってはいないけれど、常の警戒心と「絶対大丈夫」はない、いうことが2度の災害を経た今は身体中に沁みてしまった。

アトリエも新しい場所に移り、たくさんの方にご支援いただいて、またサコッシュを作って販売できるようになった。また同じようにカンバンも描いている。
地震で壊れた自宅の壁も、修理を終えて無事に穴がふさがれた。休校を余儀なくされた娘たちの学校も、再開して今は夏休み。あれほど苦労して入手していた水も蛇口からちゃんと出るし、食料だってスーパーに行けば溢れるほど売ってある。

生活は、災害が起きる前と同じ平穏な日々に戻ったように見えるけれど、家や仕事や心の中が不安定になっている人がごく身近に溢れていて、自分だって安定しているか?と言われたら、けしてそうとは言えない。
でも、浅はかな願いだけを持って暮らすのではなく、思いがけず得た経験値をこれからどう生かしていくか。それがひとつの「復興」だと思う。
その行動の一つとして、今回の地震で必要だったもの=備えておくべきものを記しておきたい。

【カバ子的熊本地震における必要物品、及び今後の備え】
家族構成:4人家族(大人2人、高校生1人、中学生1人)
※近隣で食料調達可能になるまで約4日、断水約10日、水入手可能まで約5日、電気は正常稼動、ほとんど自宅内で生活


・飲料水 5年保存可能なミネラルウォーター等2リッター×24本
・生活用水 20リッター×5缶
・食料  カップ麺、レトルト食品など約50個(約4日分)
・卓上コンロ、カセットガスボンベ
・小鍋
・割り箸、使い捨てスプーン
・ゴミ袋
・ペーパーナプキン
・紙皿、紙コップ
・新聞紙
・トイレットペーパー 24ロール
・ティッシュペーパー
・ラップ、アルミホイル
・タオル(手拭き、雑巾、ふきん用)
・水入手用保存容器(ポリタンク、水筒)
・ウエットティッシュ
・メガネ(必要な場合)
・携帯充電ケーブル、モバイルバッテリー

記録:2016年8月17日

追加があれば書き足していくが、とりあえず最低必要物品をリストアップしておく。
まず、何をおいても水の確保が重要で、特に断水中自宅で生活する場合は、トイレの水が自宅で確保できなければ外に探しに行かなければならなくなり大変な苦痛を強いられる。それ以前のもんだとして、タンクレストイレの場合は水を手動で入れて使用することができないので、自宅のトイレがどのような仕組みになっているかを確認しておくことをおすすめする。
それ以外でも、衛生面で大切な手洗いはもちろんのこと、ちょっとしたものを洗うなど、生活用水が必要になる場面が多いので、多めに確保しておくに越したことはない。
飲料水も、飲むだけでなくカップ麺やレトルト食品を煮炊きするのに必要だし、食料が近隣スーパーで入手できるようになってからも一番みんなが欲しいものであるため売り切れや品薄だったりするので、多めの確保をおすすめする。
また飲食をする際に、断水中は基本洗い物ができないので、紙皿を使用したり日常使う皿にラップを敷いて使っていた。災害時はゴミの収集開始まで時間がかかる…つまり、ゴミを自宅に溜めておくことになるので、ゴミをいかに減らすかも重要課題となる。その点では、皿にラップを敷いて使う方法は紙皿をいちいち廃棄するよりもゴミの量が少なくて済む。
ゴミ袋は、ゴミを廃棄するためだけではなく、洗えない洗濯物を溜めておくのに役立つし、その他衛生的に隔離しておきたいものを封じ込めるなど重宝する。
トイレットペーパーも絶対必要なもので、当初は入手が難しいものの一つなので、多めに用意しておいたほうがよい。「場所を取る」という理由でほとんど買い置きをしていなかったがために、今回の地震の際、通常使うものより何倍も高級で高価なトイレットペーパーを買うはめになってしまった。災害時は、いろいろとお金がかかる(後述)のに、かなりの痛手を強いられてしまった経験から言うと、多少場所を取っても買い置きは大事だ。
ポリタンクは、水の保管だけでなく、水を大量に汲みに行く時に必要となるが、こちらも災害時には品薄になる商品の一つ。20リッターと書いたが、水を入れるとものすごく重くなり女性の私が持つには重すぎて辛かったので、今から準備される方には10リッター缶をおすすめしたい。
ウエットティッシュは、清潔を保つために手指を拭くための必需品。もちろん水で洗うのが一番だが、水を大切に使いたい時はむしろウエットティッシュのほうが水の節約になるし、アルコールが含まれているものなら消毒もできる。
スマートフォンについては、生存確認、情報入手のため今や災害時にはなくてはならないもの。でも充電が切れてしまってはどうしようもないので、そのための備えは絶対必要だ。

ライフラインが通常に戻るまでの間、身に染みて感じたのが、不便な分お金がかかるということ。
食料の調達はもちろん、いい加減溜まった洗濯物を片付けるためにコインランドリーを利用したり、水を調達するために車で移動するためガソリンも多く消費する。
いつもよりお金がかかると感じていたところ、周りの友人達も同じことを言っていた。
もちろん、お金が手元にあってもどうにもならない時もあるだろうけれど、備えることでイレギュラーにかかるお金を抑えられるならば、備えるに越したことはないのだ。

上記のリストは、その時の状況とライフラインがいかに確保できるかで全く異なってくるので、これだけあればどんな災害でも大丈夫!ということではない。あくまで備忘録であり、この経験値が少しでも何かの役に立ち、いざという時の備えがいかに必要かが少なからず伝わればと思い記す。
地震の備えばかり書いたが、火災についてはメンタル面含めここにはとても書けないので、同じ境遇で私の経験値を参考にされたい方は、直接お尋ねください。

こうやってリストアップしていると、いかに自分が忘れる生き物かを実感させられる。良くも悪くも、忘れて浄化しまた次へ。
だからきっと、起きた災害と困難が、昨日のことのようにも、ずっと昔のことのようにも思えてしまうんだな。
今の願いはただ一つ。
今日も平和でありますように。


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